- 小児科
- > 乳幼児健診
乳幼児健診
乳児健診とは
乳幼児健診は乳幼児健康診査の略で、公費で実施される公的健診と私費による私的健診があります。
公的には、1歳までの乳児期に2回以上と、1歳6カ月児および3歳児の健診を各市町村が主体となって実施することになっています。たとえば東京都区内の場合、1歳までの乳児期には、3〜4カ月、6〜7カ月、および9〜10カ月の計3回の健診と1歳6カ月健診、そして3歳児健診を公費で実施しています。
健診の目的
病気の予防と早期発見、そして乳幼児の健康保持と増進
- 健診の目的:
病気の予防と早期発見、そして乳幼児の健康保持と増進を目的として行っています。 - 健診の方法:
個別健診を実施しています。 - 健診の時期:
1ヵ月、3ヵ月、6〜7ヵ月、9〜10ヵ月、18ヵ月 - 健診と母子手帳の利用:
健診はお子さんが心配なく育っているかどうかをチェックするよい機会です。健診をする月齢や年齢は、子どもの成長発達をみる上で大切な時期が選ばれていますので、決められた月年齢になったら必ず受診するようにして下さい。
健診内容
1カ月児健診
出生後1カ月たつと体重は約1kg増えます。手足を活発に動かし、明るい方に顔を向けたり、時にお母さんの顔をじっと見つめたりします。また、大きな音にびっくりしたり、泣いているときに声をかけるとおとなしくなったりと、音や光に対する反応が明らかに見られるようになります。
○ 健診の意義
新生児期に問題があった赤ちゃんについては、引き続きその問題点のチェックをします。新生児期にわからなかった問題点の発見も1カ月健診の大切な目的ですが、明らかに異常といえなくても、ちょっと気に
なるサインがあれば、今後の経過観察の重点項目としてリストアップすることに意義のある健診といえます。
また、養育者にとって最初の1カ月間は、特にはじめての赤ちゃんの時には、いろいろと気がかりや不安が多いものです。そうした心配事を解決する場としても意味があります。
○ 健診の内容
- 母乳やミルクをよくのみ、体重が順調に増えているかどうか、
- 頭囲も増加しているか、
- 姿勢や筋肉の緊張に問題ないか、
- 手足を活発に動かし、音や光に反応があるかどうか、 などを中心に診察します。
○ 留意点
気がかりなサインは何なのか、次にいつ受診すればよいのかをよく聞いて、その時期には必ず診察を受けるようにしましょう。
3〜4カ月児健診
乳児期の健診時期として最も重要な年齢です。
○ 健診の意義
3〜4カ月になると頸もすわり、あやすと笑う、人によく反応するなど、赤ちゃんの社会性の発達が確実にみられてきます。体重は出生時の2倍、身長は約60cmとなります。このように3〜4カ月健診は、身体発育、赤ちゃんの発達からみて重要な時期で、チェックしやすい時期であるといえます。
また、生活に支障をきたすような疾患や、早期に発見し治療の必要がある疾患を発見すること、さらに乳児期の栄養・生活指導などに意義があります。
○ 健診の内容
体重、身長、頭囲、胸囲などの身体計測と内科的診察をします。同時に、頸のすわり、追視、反応性笑い、ガラガラを持たすと振って遊ぶ、人の顔、声などによく反応するなどの精神運動発達や、生活に支障をきたすような疾患や先天性股関節脱臼、斜頸、先天牲心疾患など早期に発見し治療が必要な疾患のチェックをします。
また、離乳食・栄養の説明や、ツベルクリン陰性者へのBCG接種、そして新生児期に問題があった乳児のその後の発育の確認などを行っています。
○ 保健指導・相談
離乳準備・離乳食の説明や、外気浴、外出、ふれあいなどの日常生活の指導します。また、スキンケア、清潔などについても説明を聞けます。
○ 留意点
身体的には体重は生まれたときの約2倍、身長は約60cm、頭囲は40cmで、人の顔を見ると喜ぶ、あやすと笑うなど、人の顔や声に特に反応するなど社会性の発達が最初にみられる時期です。頸が座り、社会性の発達がみられれば、普通に育つことが予測されるという意味で、赤ちゃんの発育上重要な時期です。初めての養育者は育てについての悩みや判らないことを相談するのにも良い機会です。
予定より早く生まれた赤ちゃんは、生まれたときの月齢で健診の通知がきますので、早く生まれたことを医師に必ず伝えて下さい。
この頃になると赤ちゃんは、ぐずる、泣く以外に声を出す、顔をみる、笑うなどいろいろのサインを出します。これは眠たい、お腹が空いた、構って欲しいなどのサインです。あやしたり、遊んだりして赤ちゃんとふれあいを楽しむことと、気が付いたときは赤ちゃんが出すサインに的確に応えることが大切です。
身体発育や発達には個人差がありますので、細かいことは気にする必要はまったくありません。
6〜7カ月児健診
乳児期では、3〜4カ月健診に次いで大切なのチェック時期です。この時期には、体重はおおよそ7〜8kg、身長は65cm程度になります。お座りや寝返りができるようになり、手を伸ばして物をつかんだり、持ちかえたりといった動作をするようになります。喃語も活発になり、まわりにいる家族に話しかけるような声を出します。
また、人見知りが出てきます。これは親と他人との区別がつくということで、順調な精神発達を示すものです。
○ 健診の意義
3〜4カ月児健診に次いで、運動や知能が順調に発達しているかどうかみるとても大切な時期です。是非受診するようにして下さい。
○ 健診の内容
身体計測、一般的な診察と精神運動発達状態の確認を行います。この時期に発達状況をみるための大切な検査として“顔布テスト”があります。これは、仰向けにした赤ちゃんの顔にハンカチなどの布をかぶせたときに、これを手で上手に取り払うかどうかをみる検査です。手で払いのければ問題ありません。
また、離乳食の進み具合を聞き、必要があればその指導をします。ポリオや三種混合などの予防接種や、神経芽細胞腫の検査を受けているかどうか確認し、適切な指導も行います。
9〜10カ月児健診
この頃になると、周囲への関心をさかんに示すようになり、後追いもはじまります。
人見知りは少なくなり、機嫌良く一人遊びするのがみられるようになってきます。運動機能では、ハイハイをしたり、つかまり立ちができるようになります。また、物を指でつまんだり、左右の手で持ち替えたりします。離乳食は2〜3回食になります。
○ 健診の内容
身体計測、一般的な診察と精神運動発達状態をみます。発達面では周囲へ関心を示しているか、視線は合うか、にも注意してみます。
この時期の発達をみるうえで大切な検査方法として、パラシュート反応があります。これは、うつ伏せの状態で赤ちゃんを両脇から支えて持ち上げ、頭を前方へ落とすようにすると、両方の上肢を伸ばし手を開いて着こうとする反応です。これは一種の防御反応で、順調に発達しているという目安の1つ
また、離乳食の進み具合も確認し、必要があれば適切な助言もします。
○ 留意点
4カ月の時期の頸座りや7カ月でのお座りと違って、この時期の運動発達にはかなり個人差があることも特徴です。
特に異常はなくても、この時期にハイハイやつかまり立ちをしない赤ちゃんは少なくありません。しかし、その大部分がその後問題なく育って行きます。1つや2つできないことがあっても、むやみに気にすることはありません。あせらずゆったりとした気持ちで成長を見守りましょう。
1歳6カ月児健診
○ 健診の意義
人間と他の動物との相違は、人間は2本足で歩く事と言葉を話す事です。1歳6カ月頃になると転ばないで歩き、意味のある単語を言い、今まで家庭中心で生活していた赤ちゃんが公園や外で母親を安全基地として遊ぶようになります。
このように1歳6カ月健診は赤ちゃんがやっと人間らしくなった最初の節目の健診と言えます。
○ 健診の内容
身長・体重・頭囲などの身体計測、内科的診察をし、転ばないで歩く、意味のある単語を話す、積み木が積める、絵本でワンワン、ニャーニャーなど知っているものを指さす、自動車やお人形をブーブーと言って押したり、抱っこしたりそれらしく遊ぶなどの発達チェックをします。
また、生活習慣、行動上の問題、心の発達のチェックなどがあります。さらに、この頃に診断される調節性内斜視、間歇性外斜視、軽度難聴などが言葉の発達と共にチェックされます。